光で変わる私の睡眠

眠りにつくためのやさしい準備 寝る少し前からの光の使い方

Tags: 睡眠, 快眠, 光, 照明, 寝る前

加齢とともに、夜中に目が覚めやすくなったり、朝早くに目が覚めてしまったりと、眠りに関するお悩みが出てくることがあります。ぐっすり眠れないと感じる時、実は「光」が大切な役割を果たしていることがあります。特に、眠りにつく前の時間の光の使い方が、その夜の眠りの質に大きく関わってきます。

このサイトでは、薬に頼らず、日々の暮らしの中で無理なくできる光環境の調整で、心地よい眠りを取り戻すお手伝いができればと考えています。今回は、寝る少し前からできる「光の準備」についてお話しします。

なぜ寝る前の光が大切なのでしょうか

私たちの体には、「体内時計」というものが備わっています。この体内時計は、朝に光を浴びることでリセットされ、夜になると「眠気を誘うホルモン」であるメラトニンの分泌が増えるように調整されています。メラトニンは、体が休息する準備を始めるための大切な信号を送ります。

しかし、寝る直前まで強い光や青っぽい光を浴びてしまうと、体が「まだ昼間だ」と勘違いしてしまい、メラトニンの分泌が抑えられてしまいます。その結果、なかなか寝つけなかったり、眠りが浅くなったりすることがあるのです。

つまり、眠りにつく少し前から光を穏やかにすることで、体は自然と眠りの準備を始めやすくなり、スムーズに眠りに入りやすくなることが期待できます。

寝る少し前からの光の整え方

では、具体的にいつから、どのように光を調整すれば良いのでしょうか。難しく考える必要はありません。日々の習慣に少しだけ意識を向けるだけで、簡単に取り入れられます。

1. 寝る時間から逆算して「光を落とす時間」を決める

「何分前」と厳密に決める必要はありませんが、「寝床に入る時間の〇分〜〇時間前になったら」という目安を持つと行動しやすくなります。例えば、いつも夜10時に寝床につく方であれば、「9時半になったら」「9時になったら」というように時間を決めます。

この時間になったら、お部屋の光を少しずつ穏やかにすることを意識し始めます。

2. 部屋の明るさを一段階落としてみる

普段、リビングや寝室で明るいメイン照明を使っている場合は、その光を少し落としてみましょう。

明るい光から穏やかな光へ切り替えることで、体は自然と「もうすぐ夜が来る」「眠りの時間だ」という信号を受け取りやすくなります。

3. 照明の色を意識する

蛍光灯のような白っぽい光や、最近増えている青みがかったLEDの光は、体を活動的にさせてしまう傾向があります。一方、電球色のような暖色系のオレンジっぽい光は、心を落ち着かせ、リラックス効果があると言われています。

寝る少し前からは、できるだけ暖色系の光を選ぶようにしましょう。照明器具自体を替えるのが難しい場合は、電球だけを電球色に替えることでも違いを感じられることがあります。

4. テレビやスマホの光に注意する

テレビの画面やスマートフォンの画面から出る光は、特に青い光が多く含まれており、メラトニンの分泌を強く抑えてしまうことが分かっています。

寝る少し前からは、できるだけテレビやスマホを見る時間を減らすことをおすすめします。もし見る必要がある場合でも、画面の明るさを極力落としたり、ブルーライトカット機能を使ったりする工夫が助けになります。理想的には、寝床に入る30分〜1時間前には、これらの電子機器を見るのをやめるのが良いでしょう。

5. 寝室以外の光も穏やかに

寝室だけでなく、寝る前に過ごすリビングや廊下、洗面所などの光も影響します。寝室へ移動する際に強い光を浴びてしまうと、せっかく眠りの準備を始めていた体が一気に覚醒してしまう可能性があります。

寝室へ向かう道筋の光も、可能であれば少し暗めにしたり、足元を照らす程度の小さな明かりにしたりすると、よりスムーズに眠りへと移りやすくなります。夜中にトイレに起きる場合も、足元灯など、必要最低限の優しい光を使うのがおすすめです。

できることから少しずつ始めてみる

ここで紹介した「光の準備」は、どれも特別な道具が必要だったり、複雑な手順があったりするものではありません。ご自宅の照明を少し調整したり、日々の習慣を少し変えたりするだけで取り組めます。

すぐに全てを完璧に行う必要はありません。例えば、「今日から寝る30分前にはスマホを見るのをやめてみよう」「寝る1時間前になったら、リビングの電気を一つ消してみよう」というように、できることから一つずつ、無理のない範囲で試してみてください。

これらの「光の準備」を習慣にすることで、体が自然と眠りのモードに入りやすくなり、今までよりも心地よく眠りにつけるようになるかもしれません。穏やかな光の中で過ごす時間は、心のリラックスにもつながります。ぜひ、ご自身のペースで取り入れて、眠りの質の変化を感じていただければ幸いです。