夜、寝る時間を少し過ぎても 眠りを大切にする光の工夫
夜、寝る時間を少し過ぎても 眠りを大切にする光の工夫
夜、決めた時間になっても、ついつい読みかけの本を開いてしまったり、好きなテレビ番組を見てしまったりして、気づいたら寝る時間を少し過ぎていた、ということは誰にでもあるかもしれません。
私たちは、太陽の光の昇り沈みに合わせて、自然と眠ったり起きたりするリズムを持っています。このリズムを「体内時計」と呼んでいますが、特に夜の光は、この体内時計に大きく影響することが分かっています。明るい光を夜遅くまで浴びてしまうと、脳がまだ昼間だと勘違いしてしまい、眠りを誘うホルモン(メラトニン)の分泌が抑えられてしまうのです。その結果、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりすることにつながることがあります。
しかし、少し寝る時間が遅くなってしまったとしても、光の工夫をすることで、眠りの質を守り、体内時計の大きな乱れを防ぐことができます。ここでは、日常生活で簡単に取り入れられる、夜遅い時間の光との上手なつきあい方をご紹介します。
夜遅い時間の光とうまくつきあう工夫
1. 部屋全体の明るさをぐっと落とす
寝る時間が近づいてきたら、まず部屋全体の照明をできるだけ暗くしてみましょう。天井についている大きな電気を消して、代わりに低い位置にあるスタンドや、壁を照らす間接照明に変えるのがおすすめです。部屋の隅々まで明るく照らすのではなく、今いる場所の周りだけを穏やかに照らすようにします。
このように明るさを落とすことで、脳への刺激が減り、体が「もうすぐ夜が終わり、眠りの時間だ」ということを自然と感じやすくなります。急に真っ暗にする必要はありません。少しずつ、段階的に暗くしていくと、体も心も落ち着きやすくなります。
2. 光の色を暖かみのあるものに変える
照明の色も大切です。お昼のように活動的な気分になる青白い光(昼白色や昼光色)は、夜遅い時間にはあまり向きません。代わりに、暖かみのあるオレンジ色っぽい光(電球色)を選んでみましょう。
電球色の光は、脳を覚醒させる作用が少ないと言われています。お部屋全体が温かく、落ち着いた雰囲気になり、リラックス効果も期待できます。特に寝る時間が近づいたら、リビングや寝室の照明を電球色に切り替えることを意識してみてください。読書灯なども、できれば暖かみのある色のものを選ぶと良いでしょう。
3. スマートフォンやパソコンの光に注意する
最近は、寝る前までスマートフォンでニュースを見たり、パソコンで調べものをしたりする方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これらの画面から出る光には、「ブルーライト」と呼ばれる、脳を活発にさせてしまう光が多く含まれています。
もし夜遅い時間までスマートフォンやパソコンを使う必要がある場合は、画面の明るさをできるだけ暗く設定したり、ブルーライトをカットする機能やアプリを利用したりすることをおすすめします。一番良いのは、寝る時間の1時間前からは、画面を見るのを控えることです。これにより、脳がしっかりと眠りの準備に入りやすくなります。
4. 必要最低限の場所だけを照らす
夜遅くまで何かをするときでも、部屋全体を明るくする必要はありません。例えば、手元で本を読むなら、手元だけを照らす小さな読書灯を使うようにします。キッチンで飲み物を用意する際も、全体の照明ではなく、手元を照らす明かりだけを使うなど、必要最低限の場所だけを照らすように工夫します。
このように、光の当たる範囲を狭くすることで、目から入る光の総量を減らし、眠りへの悪影響を最小限に抑えることができます。
焦らず、できることから始めてみる
もし寝る時間を少し過ぎてしまっても、ご紹介したような光の工夫を試してみることで、体内時計の大きな乱れを防ぎ、その後の眠りの質を少しでも守ることにつながる可能性があります。完璧にすべてを行う必要はありません。まずは、「寝る時間が近づいたら部屋を少し暗くしてみよう」「スマートフォンの明るさを下げてみよう」など、ご自身にとって取り組みやすそうなことから一つずつ始めてみることをお勧めします。
光環境の調整は、薬に頼らずに、ご自身の力で眠りを整えるための一つの大切なステップです。これらの小さな工夫が、毎日の心地よい眠りへとつながっていくことを願っております。