季節や天候による光の変化を活かした眠りの整え方
季節や天候の変化と睡眠の関係
私たちの体には、ほぼ一日を周期とする「体内時計」という仕組みが備わっています。この体内時計は、私たちがいつ目覚め、いつ眠くなるかという睡眠と覚醒のリズムを調整する大切な役割を担っています。体内時計を正確に保つために、最も強い影響を与えるのが「光」であることが知られています。
しかし、太陽の光は季節によって日照時間が変わりますし、天気によっても明るさが大きく異なります。こうした光環境の変化は、私たちの体内時計や睡眠のリズムに影響を与えることがあります。例えば、冬になって日が短くなると、朝起きるのが辛くなったり、日中に眠気を感じやすくなったりすることがあります。
季節や天候による光の変化を意識し、それに応じて生活の中の光を少し調整することで、睡眠のリズムをより安定させ、質の良い眠りにつなげることが期待できます。特別な道具は必要ありません。日々の暮らしの中で、少し光との付き合い方を変えてみることから始めてみましょう。
季節ごとの光の活かし方
季節によって変わる日照時間に合わせて、光を上手に活用する方法をいくつかご紹介します。
春から夏にかけて(日が長くなる時期)
この時期は朝早くから空が明るくなり、夜も遅くまで明るさが残ります。 朝早くに光を浴びることで、体内時計をリセットし、一日を気持ちよくスタートさせる助けになります。朝の光は、夜になったら自然な眠気を感じるための準備ともなります。 日が長いため、夜遅くまで明るい照明の下で過ごしたり、スマートフォンやパソコンの画面を見続けたりすると、体内時計が後ろにずれてしまい、寝つきが悪くなることがあります。夜はできるだけ早めに照明を落とし、リラックスできる環境を整えることが大切です。
秋から冬にかけて(日が短くなる時期)
この時期は朝の明るくなる時間が遅くなり、夕方にはすぐに暗くなります。 日照時間が短くなるため、日中に意識的に太陽の光を浴びることがより重要になります。晴れた日には散歩に出かけたり、窓際で過ごす時間を増やしたりすることを心がけてみましょう。 朝、なかなか明るくならないために起きるのが辛い場合は、部屋の照明を早めにつけることも体内時計を調整する助けになることがあります。ただし、夜はやはり強い光、特に青白い光を避けるようにしましょう。温かみのある色の照明を使うと、心身がリラックスしやすくなります。
天候ごとの光の活かし方
天気によっても外の明るさは大きく変わります。
晴れの日
晴れの日は太陽の光が最も強く、体内時計のリセットに非常に効果的です。できるだけ外に出て、顔に光を感じるように意識して過ごすと良いでしょう。散歩や庭仕事など、短時間でも外で活動する時間を作ることをおすすめします。室内にいる場合でも、窓を開けたり、窓の近くで過ごしたりするだけでも、自然光を取り込むことができます。
曇りや雨の日
曇りや雨の日でも、外の光は室内光よりも十分に明るく、体内時計に影響を与える力を持っています。外に出るのが難しい場合でも、窓の近くで過ごしたり、カーテンを開けて外の光を室内に取り込んだりすることを心がけてみましょう。 どうしても外に出られない、部屋が暗いと感じる場合は、昼間から部屋の照明をいつもより明るめにつけることも検討できます。ただし、夜の強い光は避けることが鉄則です。
睡眠のための光調整の共通点
季節や天候に関わらず、質の良い眠りを保つために共通して大切なことがあります。 それは、「朝は明るい光を浴びて、夜は光を浴びすぎない」という基本原則です。 特に寝る前の時間帯に、スマートフォンやタブレット、パソコン、明るすぎるテレビ画面などから発せられる強い光は、眠気を誘うホルモンであるメラトニンの分泌を妨げてしまうことが知られています。寝る数時間前から、こうした光はできるだけ避けるようにしましょう。部屋の照明も、就寝に近づくにつれて徐々に暗くしていくか、暖色系の落ち着いた光に変えていくことがおすすめです。
まとめ
季節や天候によって光の環境は変化しますが、私たちの体内時計はそうした変化に影響を受けやすい性質を持っています。朝にしっかりと光を浴びて体内時計をリセットし、夜はできるだけ強い光を避けるという基本的な光の調整を、それぞれの季節や天候に合わせて少し意識することで、睡眠のリズムを整え、より快適な眠りにつながる可能性があります。
特別なことは何もありません。いつもの散歩の時間を少し調整したり、部屋の照明を少し変えてみたり。日々の暮らしの中で、光との上手な付き合い方を意識することが、自然な形で睡眠の質を高める一助となるでしょう。無理のない範囲で、できることから試してみてはいかがでしょうか。